夢
こんな夢を見た…
私は葦の生い茂る湿原を歩いている
広い広い湿原だ
しかし、視界は極めて悪い
かなり長い時間、歩いている気がする
やがて沼にたどり着いた
傍らには老いた巨木が立っている
濁った緑色の沼には1頭の馬が半ば沈んでいた
沈んで行く事もなく
もがく事もなく
ただ静かに沈んでいた
私はその馬に頼まれて何かを探していた
しかし目が覚めると何を探していたのかは全く覚えていなかった
同じ夢を毎晩見た
夢の中で私は何かを探し続けた
広い湿原をくまなく探し終えたと思った夜
遠くの方で見知らぬ老婆が叫んでいた
馬が言った
「お逃げなさい。早く。私は脚が無いので逃げられません。あなただけでもお逃げなさい」
私は言われる通りに逃げた
湿原は足を取られて走り難い
老婆の叫び声は大きくなるばかりだ
目が覚めた…
夢の終わりは現実の始まりだ
ちょうど老婆が私の脚にナタを振り下ろす所だった
その時、私は思い出しのだ
探していたのはあの馬の脚だった事を…
貞っ子
男性/59歳/東京都/会社員
2017-09-24 03:56