初めての110番
店の営業中、ガラッと戸が開いた。初めて見るオジサンが顔を覗かせた。
新客?と思いながら「いらっしゃいませ」と言ったら『あ、違うんです』と。
何だよ?と思ったら『あの、お店の前で人が倒れてます』
なんだと⁉︎
表に出てみたら、本当に男の人が俯せに倒れている。
「もしもし?大丈夫ですか?」
返事、なし。
見た所、70歳くらいのおじさん。
最初に教えてくれたオジサンの方はスタスタと立ち去っていく。
あの野郎、無責任な……
こっちに押し付けたらもう知らんぷりかよ。
怪我か、病気か?
とりあえず119に電話すっか……?
店からお客さんも出てきて『事件性あるかもしれないからパトカー呼んだ方が良いよ』って。
そうなんです。最近の川口市、戸田市、蕨市の辺りはちょいと物騒なんですよね。
というわけで生まれて初めて110番にかけました。
『どうしましたか?』
「70歳くらいの男性が道で倒れていて、声かけても返事がないんですが」
『どのような倒れ方ですか?』
「ベタッとうつ伏せなんです」
『場所を教えてください。救急はこちらで連絡します』
5分と経たないうちにサイレンの音。なんと、パトカーが2台もやってきた。
やや遅れて救急車も1台。
すると突然、おじさんは起き上がった。
『え〜⁉︎ 警察呼んだの〜〜?』
ただの酔っ払いじゃねぇか‼︎
っち。
でも、独りで立ち上がれないほど呑んでたみたいです。
警察署長の表彰は、貰えないよね……
あはは
鴻の親父(おおとりのおやじ)
男性/66歳/埼玉県/居酒屋やってます
2017-11-10 03:37