ライバル案件
本部長、秘書、皆様、お疲れ様です。
私のライバルは某有名漫画家の先生です。
高校の同級生で同じ漫研で活動し、同じ頃にプロデビューした親友であり最高のライバル。
若い頃は二人で夢を語り、お互いの作品を手伝ったりして切磋琢磨した仲間でした。
ほぼ同時期に二人とも某少年誌への連載をもらえるチャンスに恵まれました。
そして彼の作品は好評を得て、のちにアニメ化もされるほど、誰もが知る大ヒット作に…
それに比べて自分の方は鳴かず飛ばず。やっと掴んだ連載は早々に打ち切られ、彼との才能の差に打ちのめされました。
しかし、悔しくはなかったのです。彼が売れて行くのは自分が褒められてるのと同じくらい嬉しかったし何よりも彼の作品を読んで、素直に感動したのです。涙が止まらないほど感動したのです。
これは完全な敗北でした。
こいつには漫画では一生勝てない…そう素直に認められたのです。
だから漫画の世界以外であいつに負けないくらい頑張ろうとスッパリと漫画の夢を諦め、全く違う世界を勉強して企業、今の自分があります。
世界は違うけど今でも彼は最高のライバルです。
ヤン坊ましろ
男性/49歳/神奈川県/会社役員
2018-03-29 09:27