母さんへ
早いもので、故郷を離れて20年が経とうとしています。
実家で暮らしていた年月と同じ年月を関東で過ごしていることに驚いています。
「いつだって帰れるさ」
そんな思いはいつしか、
「いつか帰って錦を飾りたい」
に変わっていきました。
会う度に老いて小さくなっていくあなた。
その姿を見ると、あの日旅立つ僕を家の前で見送ってくれたあなたを思い出します。
バイクのサイドミラーの角度を変えながらあなたの姿を映していました。
どんどん小さくなって見えなくなった後、ヘルメットの中で声をあげて泣いたこと。
見慣れたはずの街並みが滲んでいて、上空を流れる雲がいつもより速かったこと。
船の上であなたの手紙を読みながら食べたおにぎりがしょっぱかったこと。
あの手紙と同封されていたお金は結局使えずに大切にしまってあります。
いつまでもあなたの子供でいさせてください。
遠く離れて暮らしていても、いつもあなたの健康と幸せを願っています。
エリーマイラヴ
男性/46歳/東京都/総帥(so sweet)
2018-05-10 11:26