一目置いた後輩。
デザイン会社にいた頃、とても良く気の利く後輩がいました。
当時のデザイン業界は美術系の大学やデ
ザインの専門学校を卒業してこの世界に入ってくる人がほとんどでしたが、その後輩は中学を卒業後すぐにこの世界に飛び込んできました。はじめはアルバイトで原稿整理や使いっ走りをしていたのですが、ある日昼休みに私が外出から戻るとフリーハンドでチラシ広告のラフスケッチを描いていて、私に気づくと「すいません、勝手な事しちゃって。」と謝っていましたが、彼の描いたラフスケッチを見ると見事なものでクライアントの要望もキチンと取り入れたものでした。
翌日私は部長と社長に直談判をして彼を私の正式なアシスタントデザイナーとして再雇用して欲しいと願い出ました。
彼自身は学歴のない事と専門知識がない事にコンプレックスを持っていましたが、「俺が全部教えるから、俺についてこい。立派なグラフィックデザイナーにしてやるから。」と彼を説得して、それから彼は私の下について武者修行の毎日がはじまりました。あまり知識がない分相手の要望を的確に把握する事には長けていて、クライアントからも可愛いがられるようになり、技術・デザイン力ともにメキメキ頭角を現しはじめました。
今その後輩は遠くオーストラリアのデザイン会社でチーフデザイナーとして頑張っています。
もうすぐ50歳になると思うのですが、今でも時々手紙をくれます。
なんか嬉しいです。
コロンボ
男性/69歳/神奈川県/自営・自由業
2018-07-04 14:31