本日の案件

冬さんへ

はじめまして。
あなたの噂はかねがね伺っております。
お会いしたことはありませんが、あなたの噂を聞くたびに私は心惹かれていきます。

あなたの冷たさ、痛さ、厳しさ…。
それは、あなたの内に秘めた情熱がそうさせるのではないかしら…
そう勝手に解釈しています。
あなたのお陰で周りは温かいことの素晴らしさや耐え忍ぶ強さを知ります。

私達が交わることができたらどんなに心地良いことでしょう…。
ですが、決して出会うことのできない私達。
私はいつも春さんからあなたのことを聞くだけです。
ですが、今年の春さんはすぐに行ってしまいました。
私もささやかながらメッセージをと思い、秋さんにお伝えしています。
届いていますでしょうか。

いつも心は冷静なつもりの私ですが、今年は違います。
猛暑なのです。
どうか、お願いですから力を貸してください。
あなたの寒さをちょっとだけ、こちらへ吹き込んでもらえないでしょうか？
土も凍らすあなたの寒さを、カラカラの空気を少しだけ分けてください。

代わりに、熱い風やしたたり落ちる汗も蒸発するほど熱された地面や肌にまとわりつくような湿気を送ります。

夏より かしこ

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