49年前の夏のゾゾっ
小学五年の夏休み。
休みの前半をずっと父の実家である新潟県の農家(伯父の家)で過ごしていました。
伯父の家で飼っていた猫がなかなかに可愛くて、遊んでいるうちに私は尻尾を掴んだり後ろ足を掴んだりと、猫の嫌がることをして楽しむようになりました。
6歳上の従兄弟が「猫をいじめてると恨まれるぞ」と脅していましたが、私は忠告に耳を傾けず……
そしてある朝、目覚めた私の顔の真横にその猫はチョコンと座り、私の顔をジッと見下ろしていました。
「ぉわ゛!!!」と叫びながら飛び起きた私。振り返ると猫は泰然と座ったまま恐れ慄いた私をジッと見つめていました。
伯母さんが襖を開けて顔を覗かせ一言。
「どしたぁね?」
あれ以来49年、猫の尻尾は掴んでいません。
鴻の親父(おおとりのおやじ)
男性/66歳/埼玉県/居酒屋やってます
2018-08-01 15:35