東京
青山を歩く。
うちの店の前の大通りは、オリンピックにむけて電柱が撤去され、地中にガス・水道・電話などの共同溝とともに埋められ、地上は自転車専用道としたのは良いが、車は一車線が減ったことにより実は追突事故が増えている。
押井さんが1988年に監督した映画では、無意味にスクラップ&ビルドを繰り返す東京の中で、地上げによって生家を追われた天才的コンピュータプログラマーが、東京を壊滅すべく、ありとあらゆるコンピュータが暴走するウィルスをしかける事件を描いていた。
まだwindows95も出ていない、大学や企業の“パソコン通信”ぐらいでグローバルなネットもなかった時代にはかなり先進的なテーマであり、押井さんの先見性も脅威的なのだが、30年経った今でも、東京の性質は不変なのであり、今見ても、かなり思うところの多い映画です。
実はうちの店の裏手あたりは、青山地区の中でも表参道エリアなどとは違い、古くから住み着いた庶民的な家が多い。オシャレだから青山じゃなくて、たまたま生まれついたから、という。
だから普通の田舎と同じく人口の高齢化・空洞化も起きており、住民の病気や死去を期に、郊外に新居をかまえた子供世代に引き取られて土地家屋を手放したり、車持ちや私立校世帯でもなければファミリーには不便な土地だから、相続税のために売却される事例も増えている。
そしてそれらを一手に買い上げているのは戦後からこのエリアで勢力をもつ、ある特定の大手不動産会社である。
実はうちの店の土地を含めた一帯に、大規模な再開発計画が(住民や商家に関係なく勝手に)立ち上がっていて、普通に住み続ける気まんまんの住民にすら地上げの波が迫っているのである。
町内まるごと買い上げなんて話まであって売却賛成組と継続・新入居組の間では軽いいがみ合いが起きて、個人のあらぬゴシップもささやかれた。
いったい誰のための開発なのか。
50年前の東京オリンピックの時には秘かに野良犬狩りが行われたらしい。
20年前には石原さんがカラス狩りと、都内各地のションベン横丁みたいな飲み屋を排除にかかりましたが。
今オリンピックでは、誰が駆除されるのか。
【 機動警察パトレイバー The movie/ 押井 守 】
コーギモモ
男性/57歳/神奈川県/飲食業
2018-09-23 11:00