案件、まだ返せていないあの時の借り。
小学校1年生の頃だったと思います。
少ないお小遣いを使ってスーパーでお菓子を買おうとした私ですが、所持金を数え間違えてしまい、10円足りませんでした。
その事に気づかず、わくわくしながらお菓子を持ってレジに並び、自分の番になって発覚したことです。
私は、いけないことをしてしまった気分になり、焦って何も言えなくなりました。
眉毛も口角も下がって、ただ眼球がキョロキョロ動くだけの私を察したレジのおばちゃん。
財布を見せて。と言ってくれたのでその通りにすると、おばちゃんが私の財布を持ったままレジから出てどこかへ行ってしまいました。
訳がわからず、更に焦る幼い私。心臓をバクバク、膝をガクガクさせながら呆然としていると、おばちゃんが戻ってきました。
財布の中には10円玉が1枚増えていました。
それはなぜだろう?と分析する余裕も、それをしてくれた人は誰だろうと考える余裕もなく、手品のように増えた10円玉をトレイに乗せ、お菓子を受け取りました。
確か、マーブルチョコとかアポロチョコといった「こつぶチョコシリーズ」の小さいやつが5箱1組になっている、120円ぐらいの商品を買おうとしたのでした。
帰宅して母親に見せて、この話をすると、すぐにスーパーに同行してくれ、レシートをたよりに10円を返却しました。
おばちゃんに再会した私は、数十分前の記憶が甦り、口をパクパク動かしはするものの何も言えず。
10円は返すことができましたが自分の言葉でありがとうは結局言えずでした。
おばちゃんは私の面子を守ってくれ、母親は感謝する大切さやその方法を教えてくれました。
そんな出来事をなぜだか鮮明に思い出す、本日の案件テーマです。
taropy
男性/31歳/神奈川県/会社員
2018-11-20 12:48