侵入者と遭遇

実家暮らしだったころ空き巣と遭遇したことがあります。

当時大学生で完全に昼夜が逆転していた私は、
真っ昼間に二階の自室で寝ていましたが、
ふと、階下からの物音で目を覚ましました。

家族は出払っている時間帯なので
すぐに侵入者であることを直感しましたが、
当時はまだ携帯電話もなく、何もすることもできずに
私はただ気配を消していました。

やがて侵入者は一階の物色を終えたらしく、
ギシッ、ギシッ、とかすかな足音を立てながら
ゆっくりと階段を上ってきました。

急にドアを開けて不意打ちを仕掛けるくらいしかできないと
覚悟を決めた私は、一応相手の顔を確認しようと
少しだけドアの隙間を開けて薄暗い階段の方を見ていると、
登ってきた見知らぬ中年男としっかり目が合いました。

即座に相手は逃走し、そのまま居間の窓から屋外に出ていく気配を感じて
私はその姿を目に焼き付けようと二階の窓から探しましたが、
男の姿はそこにありませんでした。

まだ付近に潜んでいると確信し、私は追って外に出て大声で叫びました。

すると、隣の庭の植え込みにしゃがみこんでいた男が姿を現し
「文句あるか」とばかりに私をにらみつけながらゆっくりとその場を去っていきました。
私は相手の気迫に押されて、一歩も動けず
ただ相手を見送ることしかできませんでした。

その後、通報し駆けつけた警察官に話をしている最中に
犯人らしき男を連行したと連絡が入り、私も警察署へ同行し
いわゆる「面通し」をして、事件は解決したのでした。

後から考えると結構無謀なことをしたなと反省もしましたが
何事もなく早期解決できてよかったです。
感謝状とかの類は特にありませんでした。（笑）

1