女盗賊メアリー その五
メアリーは、大仕事の準備を進めていた。
とてつもないことを
フフンのフン♪とやってのける
ミッション
略して『TFM』。\(^-^)/
メアリーは、昔、ネロという男の子を生んでいた。
ネロの父親は同じ盗賊仲間だった。
ネロを身ごもると同時に、運悪くその男は鬼平にお縄にされてしまった。
盗賊業をやりながら一人で育てるのは無理だと、オンジやセバスチャンに説得され、身を引き裂かれる思いでネロを里子に出したのだった。
ネロは、貧しいながらも心やさしい両親に育てられ、正直で素直ないい子に育っていた。
ネロには絵の才能があった。しかし、絵を習いたいと思っても育ての親には習わせてやれる余裕がなかった。
ネロは、いつも外でしゃがみこみ、石を握って道端に絵を描いては村の人々に驚かれ褒められていた。
そんなネロに目を止めた寺子屋の先生が、ルーベンスの絵画展が江戸城のお堀端の小屋でやっているから行ってみたらどうか?と切符をくれた。
ネロはうれしくて飛び上がった。そばにいた野良の老犬にウォン!と吠えられた。
ビックリしてネロが逃げると、その老犬はノソノソ追いかけてきた。
ネロが立ち止まるとその老犬も止まった。
かわいくなったネロは、その犬と友達になることにした。そして、パトラッシュと名付けた。
ネロとパトラッシュは、お堀端の展覧会へ行った。
ルーベンスの絵は素晴らしかった。
ネロにとってはこの世のものとは思えず、背中を感動が走った。
足が震えた。
涙が溢れてきた。
「パトラッシュ、わかるかい?これがルーベンスだよ。オイラが好きなルーベンスだよ。」
くみ
女性/65歳/東京都/黄色くみ広報室長
2019-01-26 23:00