名古屋旅日記・弐(ひまつぶし用)
「こんにちは〜。見せてください!」
返事はありません。まいっか。
しばらくして、私に気づいたらしいおじいさんが「いらっしゃいませ」と。
ひょっとしてお耳が遠い?
ひと通りながめてから、手頃なものを2つ選びました。
口へ向かって少し広がっている小鉢は、そば猪口にもお酒やワイン用にも使えそうです。ワンポイントで茶色い鉄釉がかけられていてシャレています。
もう一つは小ぶりのマグカップ。赤くボカされた釉薬が味があります。
「これください!」
そば猪口風のものが値札がハッキリしてなかったのでおじいさんとの会話の切り出しに使ってみました。同じ型のものでほぼ確認できていたのですが。
「これはおいくらですか?」
「たぶん1,300円だと思うんですよね。」たぶんって。笑
「は〜い、わかりました」
おじいさんは、マグカップを握って語り出してくれました。
「これはね、弟が作ったものなんですよ!」
「そうなんですか」
「こっちは私が作ったんです」
「たくさんあるのでお弟子さん達が作ったものなのかな〜なんて思ってました。これ、握った時の感じが指にすごく心地いいんですよね♪」
おじいさんのお顔にフワッとうれしそうな笑顔が。
見逃しませんぜ!\(^o^)/
それから、作品作りの説明が。
「この模様は筆に釉薬をたっぷりと含ませてここにパパッと振り降ろすんですよ。そうするとこういう計算ではできない模様ができるんです。」
「ワンポイントで品が良いですよね」
「こっちのこの赤は、ここに牡蠣の貝殻を立てかけて焼くんです。」
「え? 牡蠣ですか?カルシウム?」
「そう、海の牡蠣ね。ココとココと…4枚立てかけてね。牡蠣の殻の塩分がこういう赤になるんですよ」
「うわぁ、じゃあこの赤は海の塩が作った色なんですね!」
「うん、そう」
丁寧に包んでくれて、紙袋に入れ、子どもに渡すように「はい、落とさないようにね」ですって。
「は〜い!ありがとうございます!」
子どもになって答えました。
去ろうとすると、「はい、アメどうぞ!」とアメがたくさん入ったカゴを差し出してくれました。大阪のおばちゃんか〜と思いつつ1つだけいただいたら「何を遠慮してるの?」と言われて「じゃあ」とあと2ついただいてきました♪
くみ
女性/65歳/東京都/黄色くみ広報室長
2019-03-16 21:59