恥
この前の【先輩かっこいいっす案件】 の時に「新人の失敗は、新人自身の責任ではなく、指導係の先輩が注意されるべき」といった意見を述べました。
これはビジネス論的な、管理職の常識なんですけど。
古い職人気質としても、仮に自分が先輩だったとして、自分の頭を飛び越して後輩が親方から直接 叱られているのを目の当たりにしたら、やはり先輩としては『恥ずかしい』と感じます。
親方と後輩の間に割って入って 「さーせん!自分の監督不行き届きッス」って謝る。
そういう場面は自分が新人の時にも幾度かあったから、それが当たり前なんだっていう体質が染み付いています。
ルールのあるなし、責任の所在などではなく。
自己基準として『恥』。
古代から明治維新まで、大した法律もなかったこの国で、高いレベルの社会システムが維持されていたのは、日本人の中に、この『恥』という感覚があったからだという説もあります。
誰が見てなくても
『お天道様に恥ずかしいだろ』とか。
おそらく戦後の急速な復興から、高度経済成長を実現したのも、現場、現場でそれぞれの職人がもつ、恥の意識がクオリティーを上げてきたのは間違いない。
そうした職人気質は、
本来、プロであるなら自前で用意すべきだと思います。
給与とか、休みの日数とか、人間関係とか、ぶーぶー言うのも良いが、アナタ自身は職業人として誰に恥じ入ることなく、誰かの役に立っているんですか?っていう。
そういうことに危機感を感じたのは、とある脱線事故のニュースに触れた時でした。およそ専門職たる運転士としてはあり得ないところで速度をあげた。絶対的な安全より遅れを取り戻す運転に向いてしまった彼の職人気質は誰に向いていたのか。
また、彼をそう仕向けたマニュアルや仕組の功罪。
料理が不味いくらいなら大した害もありませんが、船の運航や、飛行機の整備とか、職人気質が失われたら、そのうち大事故にならないだろうか、と不安を覚えます。
もちろん、管理職としては働き方改革、その他、若手のために環境は整えるし、モチベーターとしてヤル気を引き出すべく取り組むわけですが。
最後の最後は本人に『恥の意識』が芽生えるかどうかにかかっています。
コーギモモ
男性/58歳/神奈川県/飲食業
2019-03-18 09:51