本日の案件
本部長、秘書、社員の皆様お疲れ様です。
私の青春、それは高校3年生の卒業間近の出来事です。
私の高校では、2年生にスイスからの交換留学生を迎えていました。学年も違い、全く接点のなかった私とスイス人の彼。
身長190㎝超え、ブロンドの髪に水色の瞳。
ミーハーな友達の付き添いで彼のクラスに覗きに行ったりしていましたが、私は会話はなく、ある日一人で暇つぶしに行っていた図書室で彼と二人きりになりました。
彼は私の事を覚えていてくれて、たまに図書室で会うと、他愛もない話を私の拙い英語と彼の悠長な英語(たまに日本語)で話していました。
図書室で会うことが多くなり、毎日放課後には彼が私の教室へ会いに来てくれるようになりました。
ある日、彼に「僕の恋人になって」と言われました。仲良くはなっていたものの、私は戸惑い、二つ返事をすることができず、好きだけど、恋人としての好きか分からないと曖昧な断り方をしてしまいました。
その次の日、震災がおこりました。
彼はスイスへ急遽帰国することになりました。
交通網が殆ど動いていない状態で、「最後に会いたい、どうしても」とメールが来て、私は遠くの数本だけ電車の動いている駅まで自転車を走らせました。
お昼過ぎにはすべての電車が運休してしまうため、ほんの少しの時間、駅で彼は私を見つけるなり抱きしめ「必ずまた戻ってくるから」と、泣きそうな表情でぎりぎりまで話してくれました。
私の好きなきれいなポストカード、キーホルダー、スイス式のトランプのような物を渡され数字や絵札の数が違うため「使い方が分からないよ」という私に、「持っていて、必ず戻ってきたときに使い方を教えるから」と。
電車が発車するぎりぎりまでホームから手を振る彼、まだ明るい昼間の最終電車が遠くに彼を連れて行きました。
その後、彼から「会いたい」「今何をしている?」「日本に帰りたい」「元気が出ない」等と数通手紙が着ましたが、彼の住所が書いていなかった為返信できず。とてもモヤモヤした淡い恋心のようなものを感じました。嘘のような本当の話です。
後輩の話によると、彼はすぐスイスで彼女ができたそうです。
ぼろぼろろぼっと
女性/32歳/埼玉県/いつもにこにこ会社員
2019-04-09 17:15