運命案件。
運命案件。
1987年の新緑の微風《そよかぜ》が薫る皐月《さつき》。
私がその扉を開いたのは、
初夏の香りを漂わし始めたある日の夕方だったと想います。
場所は、東京の大塚。
JR駅から程近いビルのオーナーが営む 小さなバーボン・バー。
広さ三坪程。スタンディングでキャシュ・オン・デリバリー・スタイルのバーボン専門店。
扉を開いた瞬間に自分が将来やりたい事、
やりたい店のイメージがハッキリ解ったような気がした。
私は漠然とした道を迷いながら飲食の道に進んでいましたが、
1987年の初夏、その扉を開いて、確信が持てたのかも知れません。
自分の進むべき道がハッキリと解ると、
今ままでと同じ事をしていても苦痛に思う事も無く、遣り通す事が出来たのです。
それから十数年後の1998年の夏。
私の御店、Bar.は開店しました。
その年の8月。
東京FMで土曜日に放送中だった架空のバー、アバンティのバーが、
麻布十番祭りの日にで店を出すと聞いたのです。
行ってみて驚いたのは、
その御祭りで企画のバーを仕切っていたのが、
十数年前、大塚のバーの店長をしていた方だったのです。
毎年、夏が近づくと、
1998年の自分の店を開店した時の気持ちと、
1987年の未来に夢を見ていた時の想いが蘇えってきます。
bar亭主
男性/60歳/東京都/自営・自由業
2019-06-13 15:13