案件…私の師匠。
芸大時代にある画廊で見た個展に目を奪われて、憧れ続けていたのですが、その画家がたまたま特別講師として3日間だけ教わった事があります。
私にとっては夢のような3日間でした。
そして最終日に思い切ってその画家先生に弟子入りを直訴しました。画家先生は「日本で画家として食べていくのは大変難しい。閉鎖的な文化だからね。もう少し見聞を広げるためにも、いろいろな世界を覗いた方がいいよ。」と言われ、その後はさまざまなアルバイトをしながら自分なりに世の中を見つめていました。そしてある日その画家先生から「ある鉄道会社の観光ポスターを制作するんだが手伝ってくれないか?」…私は二つ返事で画家先生のアトリエへ直行。一から勉強させていただきました。絵が上手い下手ではなく、大切なのは、ものを見る目と創造性だという事を思い知らされました。数年後その鉄道会社の観光ポスターは先生の推薦で私が担当する事になりました。画家として食べていくには確かに難しい世界でしたが、ポスターを手がけるという商業デザインにシフトを変えたのが今の私の源になっています。先生は平成の時代を見ることなく亡くなられましたが、先生のものを見る目と創造性は今の私がしっかり継承していると思っています。
いい師匠に巡り会えて良かった。
コロンボ
男性/69歳/神奈川県/自営・自由業
2019-09-25 16:17