今日のテーマ
私が最も教えられたなあと思い出すのは、もう20年も前、初めての海外勤務の時の上司です。
当時の私たちの会社は、ベンチャー真っ盛り。勢いだけで海外進出してしまい、結果大赤字。
上司はその立て直しのためにヘッドハンティングされてきた方でした。
既に60歳を超えた方だったのですが、若い時から日本を代表するタイヤメーカーで海外を渡り歩いたらしく、昼食時に一緒に見ていたCNNのニュースで出てきたアフリカのニュースに対して「この国に日本人で初めて行ったのは僕なんだ」なんて事をボソッと言うような方でした。
とにかく腰の低い方で、家に食事に招かれた時でも、帰りには必ず「来てくれてありがとう」とお土産を渡して送り返してくれました。
後で奥様から聞いたのですが、アフリカの生活は相当きつかったようで、虫歯になっても衛生上の理由で歯医者に行けず、自分で歯を抜いたこともあったそうです。
でも私たちにはそんな事は一言も言わず、海外勤務が如何に自分を成長させてくれるかを話してくれるような方でした。
この方のお父様が赴任中に体調を崩され危ない状態になってしまったのですが、「帰ってあげてください」と言う私たちに対して、「父親との別れは、この前帰国した時に済ましている。私はこの会社を立て直すために来てるのだから、いま帰るわけにはいかない。」
と帰らなかったのです。
普段の柔和な彼とは全く違う表情に、私は何も言えなくなってしまいました。
彼からは仕事に向かい合う姿勢、謙虚であることの大切さと共に、人の品格というものは、普段の心がけから生まれるものだと学びました。
それ以降、自分に厳しく、虚勢を張ったり、自慢したりすることが無いよう、心がけながら生きています。
私の人生の師匠です。
モトモット
男性/55歳/東京都/自営・自由業
2019-09-25 18:08