私を救ってくれた息子の言葉
私は息子が生まれて一歳半の時に中途失明となりました。ですから、息子の成長は私の中で一歳半の時のままで時が止まっています。息子が生まれてから、私は介護福祉士として働いていた職場を退職し、盲学校に入学しました。マッサージ師の国家資格を取得するために通っていたのです。入学して一年目の夏休み、私は盲学校で補習を受けていました。ですが、慣れない点字の勉強や聞きなれない専門用語に焦りを感じ、帰りの電車の中で自分を見失い、自ら命を絶とうと考えていました。そんな時、頭の中に息子が「どうしてパパは起きないの」という声が聞こえてきました。私は、棺桶の中にいる私を想像していたのです。実際に息子に言われた言葉ではなかったにしろ、私はその一言で命を救われたのでした。息子の一言で、私はここにいることが出来ています。そんな息子は、今年高校生となり、医者になりたいと言い出しました。私の視覚障害を治してあげると言われたわけではないですが、息子が人助けの道を選んでくれたことは、非常にうれしかったです。そんな息子に感謝しつつ、私も前へ進まなければいけないなと、息子の背中を追いかけるように日々の生活を送っています。息子よありがとう。
ふわふわクッキー
男性/52歳/東京都/自営・自由業
2019-10-04 17:58