もしもし案件

本部長、秘書お疲れさまです。
私の忘れられない電話は課長の無言電話です。
私が入社して1年経とうとしている頃、他部署の課長がガンになりました。その方は私にとっておじいちゃんのような存在で、同部署に年の近い仲間がいなくて疎外感があった私の話相手になってくれていました。
入院してからは、皆に声かけて寄せ書きを書いたりお見舞いに行ったりしました。

しばらくして、その課長ケータイからお電話がありました。喉のガンで声がほとんど出ないため電話がかかってくることがなかったので驚きながら出たら無音。もしもしと呼び掛けても無言。先輩にも声かけましたが、間違い電話じゃないかということで切ってしまいました。

その半月後亡くなりました。
会社が好きな方だったので、もしかしたら皆の声が聴きたくて電話したのかもしれません。あの時気がついてもっと話したり、電話を他の方に代われば良かったと後悔。あの日には戻れませんが、たまにふと思い出してあの無言のメッセージが気になってしまいます。

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