名言案件
小学校教師をやっています。
数年前、自分のクラスが大変な状態になり毎日いろいろな子の対応で忙しく辛い日々でした。その年の授業参観の日、朝から落ち着いて過ごせるわけもなく、いつものように子どものトラブルの対応で、授業参観直前の休み時間も、普通なら準備をしたり、教室を少し整理したりして保護者の見にくる参観授業に向けて心の準備を整えていくのですが、本当に授業開始のチャイムが鳴るその時まで、職員室で子供に指導をしていました。チャイムが鳴り、何の準備もできぬまま、精神的にもかなり追い込まれた中で、それでもたくさんの保護者の待つ教室に向かわなければいけない状況が、自分の中であまり現実感が湧きませんでした。その時、近くにいた教頭先生に
「今から授業参観ですよ。あり得ない…」と弱々しく漏らしてしまいました。
すると教頭先生がこう言いました。
「あり得るんだよ。ありなんだよ。」
この言葉がなぜか、すっと心に入ったのを覚えています。その言葉で切り替わったというか、「あり得るんだな、やるしかないんだな。」と思えました。
そのあとの授業参観が特にうまくいったとかそういうわけでもないし、あの1年間は本当に苦しい辛い1年間で、この仕事を辞めようとも思った年でした。今ではやっと少しずつ自分にとって必要な一年だったんだと考えられるようになってきました。あの時助けてくれた、支えてくれた人たちのことは忘れません。
そして今でも時々あの時の教頭先生の
「あり得るんだよ。」という言葉を思い出します。
今のこの状況とも通ずるところがあります。どんなに大変なことが起こっても、想定外なことが起こっても、「あり得ない」と切り捨て、投げ出してしまうのではなく「あり得ること」と考えられる思考を大切にし、どんな状況でも自分のできることを考えて行動できる思考をもっていたいです。
けむけむけむ
男性/38歳/神奈川県/公務員
2020-04-23 15:34