思い出6
若かりし頃、僕はプロのミュージシャンを目指していた。
様々な活動をしていた。
バンド、路上ライブ、オーディションなど。
ギタリスト兼唄うたいとして、東京や地元埼玉で、スターになることを夢見ていた。
僕はバリバリのパンクロッカーだった。
とはいえ、モヒカンや革ジャンなどのスタイルではなかった。
パーカーにジーンズなどの脱力ファッションだった。
当時、ハイスタンダードが全盛の時代だったので、彼らのようになりたいと思っていた。
自分で作詞作曲もしていた。
毎日頭を捻らせて、いい詞やメロディが下りてくるのを待っていた。
でも、そういう時は大抵下りてこない。
メシを食っている時や風呂に入っている時に下りてくる。
一曲、「ストレート」という自信作があった。
あの時も部屋でボケーっとしている時だった。
ありゃあなんなんだろうか。
思い出そうとしても思い出すことができないのに、忘れたころにフッと蘇る感覚。
誰しもが経験あるだろう。
いずれにしろ、僕の音楽活動は25歳を境にやめる。
元々決めていた。25歳で芽が出なかったら趣味にしようと。
ミュージシャンで食う道は断念した。でも、その経験は自分の人生において財産となっている。
それは今も同じだ。
けいごん
男性/42歳/神奈川県/フーテン
2020-05-24 07:56