案件

自分のお弁当ではないのですが、
中学の同級生、小林くんのお母さんは、料理上手で有名でした。
彼がお弁当を開けるときは、クラスの皆が集まってきて
「そのおかずちょうだい！」
って大騒ぎでした。
ある日、小林くんが開けようとしたところ、蓋の上にレンゲと、レトルトパックが。
蓋をあけると、白いごはんのみ。
中華丼のレトルトパックを開けて食べなさい、というお弁当でした。

クラスの皆は、あの小林くんのお弁当があまりに衝撃だったため、家に帰ると、それを親に伝えたのです。
すると、親たちは
「小林くんのお母さん、具合悪いんじゃない？！」
と考えたようで、小林くんの家の電話は、ずーっと、なりっぱなしだったそうです。
ただ、ちょっとめんどくさくて、目先のかわったものを包んでみただけだった小林くんのお母さんは、なりっぱなしの電話で疲れてしまったそうです。

その日以来、小林くんのお弁当が、レトルトだったことは、一度もありませんでした。

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