お弁当案件
私の話ではなく、父の話です。父が子供の頃はとても貧しく、お母さん(私のおばあちゃん)が色々と工夫をして詰めていてくれていたらしいのですが、お弁当のおかずの種類はそんなに豊富では無かったようで、「もうちょっと何とかしてよ」と言うと「そうだなぁ」と、少し考えている様子だったそうです。
ある日、父が間違えて、お母さんのお弁当を学校へ持って来てしまったそうです。お母さんのお弁当は、父のよりも大きかったので、「こんなデカい弁当で、どんなおかずを詰めてるんだろう」と思い、蓋を開けてみると、敷き詰められたご飯に、たくあんが2切れのみ。
今までずっと、お弁当に詰められる分のおかずは全て、父の方に詰めて、お母さんはご飯だけでお腹を膨らませていたそうです。
その日食べ終わったお弁当を出しても、「お母さんは何も言わなかった」と父は言っていました。
私もお弁当を家族に作ってあげる立場になり、毎日作る大変さを少しは知っている分、その話を聞いたときは、胸が締め付けられるようでした。
エイポック公園
女性/31歳/長野県/介護職
2020-06-03 18:05