案件
10年前に亡くなった私の母の話ですが。
母は結婚前に美容師をしていて、戦後、広島の山奥の寒村から都会である広島市内に、単身、修行のために出てきて、美容師の資格を取って、最終的にはステップアップのために華の東京に乗り込んできた、という人で、戦後まもなく、新幹線もない時代、機関車で十数時間もかけて女性独りで上京してきたこともそれはそれでドラマチックなんですけど…
そんな母の広島修行時代。
当時の広島といえば、原爆から復興も著しい中で、ヤクザの抗争も激しい繁華街で、まさに映画【 仁義なき戦い 】の世界だったそうですが、母が勤めていた美容院もメインのお客さんは夜のクラブのホステスさん達で、中には某 プロ野球ピッチャーの“広島の妻”といった人もいたそうです。
ある日、お客さんとして来ていた女性ところに、彼氏なのか情夫なのか、一人のチンピラが訪ねてきて、痴話ゲンカから、今にも殴りかかりそうなトラブルになりそうになったそうなんですが。
その時に、短髪に着流し姿でイケメンの、周りの人からは“若頭”と呼ばれている人が、颯爽と入って来て、
「お前、何やっとんじゃ!?」
「ア、アニキー!!」
「カタギの皆さんにご迷惑おかけすんじゃねェよ」
「す、すんません」
「皆さんがた。どうも、うちの若けェの が面倒かけまして…」
と、その場を治めて去っていった、と(笑)
その話を何度か聞いた時は、いつも「そんな出来すぎなシーンある?」とか「絶対、話盛ってるでしょー?」と、母に問いただしてましたが、母もゲラゲラ笑いながら「まるで映画みたいだけど、全部、本当なんだって!」と言ってましたね。
ちなみに若頭さんは、美容師さん達みんなの憧れの人で、母もちょっと好きだったそうなんですが(笑)
『高倉健さん』に似ていたそうです(  ̄▽ ̄)
コーギモモ
男性/58歳/神奈川県/飲食業
2020-07-20 11:45