社員掲示板

今日の案件!

本部長、秘書、皆様、お疲れ様です!

とある病院で仕事をしていた時の話です。
ある朝、入院患者さんが、「今日はどうしても、外出しなければならなくなりました」と。
絶対安静が必要な病状だから、と、改めて説明し、一度は納得された様子。
…が、結局その後『命より大切な事情がある』と、一筆書き置きをして患者は病院を脱出。

…深夜、病院の警備員から、「患者の〇〇さんと、お連れの"方々"が、お待ちです」と電話。

嫌な予感とともに警備室の駐車場へ降りてみると、周りに黒塗りの車が数台。
正面に、両脇を抱えられ うつむいた患者さんと、縦縞スーツのお兄さんの"方々"。

「オイコラ!ウチの若いやつ、ちゃんと治療してんのか?いい加減なことしてんじゃねーぞ!」飛び交う怒号。

《こりゃヤバイ、どうしよう…》と困っていると
『…ドンッ』と、奥に止まった高級車の後部座席ドアを閉める低音。
ゆっくりと歩み寄る小柄な男性。張り詰めた空気、続く静寂ー。

「うちの若いヤツが大変お世話になっております。しばらくは入院が必要と理解していましたが、今日は外出しても良かったのでしょうか?」
男性の低く落ち着いた丁寧な言葉遣い。

とっさに自分は上ずった口調で
『…い、いえ、病状は深刻でして…入院が必要なのですが…、ご本人さんが、今日は命より大切な用事がと…』

[バコッ!!]うつむく患者の顔に、親分の張り手が炸裂、滴る鼻血。

「…大変失礼しました。やはりそうでしたか。今後とも宜しくお願い致します。」と、落ち着いた低音で、親分。
さらに滴る患者の鼻血。

『…は、はい』裏返るボクの返事。
一斉に引き上げる親分のお兄さん方。
残されるボクと患者、と、
止まらない鼻血。

…そう、患者は病気のせいで血が止まらない。その後、止血処置をして患者は病室へ。
患者は、深く詫びながら、今日は大事な親分の祝い事にどうしても参加したかった、と。

その時は怖い、としか思えませんでしたが。
いま思い返すと、患者さんもお兄さん方も親分も仲間を思いやる気持ちに溢れていました。

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男性/47歳/千葉県/会社員
2020-07-20 15:29

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