誰も信じてくれない案件①
本部長、秘書、リスナー社員の皆さんお疲れ様です。
昔から霊感が強い私の大学生の頃の話です。
とある用事で立ちよった埼玉某所。
用事を済ませて歩いていると、ひと気の少ない夕方の線路沿い、ぼっーと立ちすくむ髪の長い女性がいいました。
何だか気になり、私はその女性を目で追いながら、歩いていました。
そしてその女性とすれ違った数秒後。
後ろから『タッタッタッタッ…』
という私を追いかけてくるような足音が…。
その足音に振り返ると、そこには誰も居ません。それどころか数秒前にすれ違った女性の姿もないのです。
おかしいな…と思いながら私は帰路につきました。
その夜から私の自宅では不思議なことが起こり始めました。
勝手につくテレビ…
勝手に音量の上がるCDプレーヤー…
そして耳鳴りと共に電波の乱れるラジオ…
そんな生活が数ヶ月続いたある日の夜。
私は寝苦しさと共に夜中に目を覚ましました。
すると金縛りにあったのか、身体が思うように動きません。
その時です。
ただならぬ気配を感じ、恐る恐る目を動かすとそこには枕元に立つ髪の長い女性が…。
声をあげることも出来ず、その女性を見ていると、その顔が徐々に私に近づいてきます。
そして耳元に顔を近づけ、何かヒソヒソと話し始めました。
か細く、震えるような声。
何を言ってるのかは全く聞き取れません。
いや、本能で私は聞いてはいけないと思ったのかもしれませんね。
すると話しかけられている耳がだんだんピリピリと痛くなってきました。
痛いなー。痛いなー。
そう思いながら耳の痛みは、徐々に移動し始めました。
首から胸、腹…
腹から足…
そしてその痛みが足の指先までたどり着いた瞬間…
『パキッ!!』
という音と共に金縛りが解けました。
起き上がり足の指先を見ると、親指の爪が真っ二つ斜めに割れていたのです。
そこから1ヶ月。
割れた指先には血豆のような大きな血の塊が出来ていました。
その後きちんとお祓いを受け、気がつくと家から女の人の気配は消えていました。
あの時女性は私に何を伝えたかったのでしょう。
今となっては知るよしもありません。
飛ばない豚なのでただの豚
男性/41歳/東京都/団体職員
2020-07-23 14:29