誰も信じてくれない話
本部長、秘書、リスナー社員の皆さん、お疲れ様です。
久しぶりのリアルタイム視聴です。
さて、私の「誰も信じてくれない話」ですが、それは12年前の話です。
その年の3月に85歳で大好きな祖父が亡くなりました。
亡くなる間際、父に「祖母を残して逝くことが出来ない」と話していたそうなのですが、父が「大丈夫だよ」と言うと眠るように逝ったそうです。
それから3ヶ月を過ぎた頃、1人残された祖母は話し相手を失ったせいか、少しずつ痴呆が進んできていました。そんなある日、縁側で外を見ていた為、声をかけました。すると、祖母は「お茶、持ってきてくれるかい?」と言いました。
私は言われるままにお茶を煎れて来ると「おじいちゃんにも煎れてあげないと」と、隣を見つめながら、そう告げました。
見る限りは祖母の姿しかありませんでした。
けれど、祖母の表情が久しぶりに優しく見えて、慌ててお茶をもう1つ持って、祖母の隣に置きました。
お茶を飲みながら、幸せそうに隣に微笑みかける祖母を少し離れた所でしばらく見つめていた私にも、少しして薄らと亡くなったはずの祖父の姿が見えた気がしました。
そんな光景を目にして1週間後、祖母は82歳で静かに息を引き取りました。
とても穏やかな表情をしていたことを今でも覚えています。
後から考えてみたら、祖父はやはり1人残してしまった祖母が心残りで迎えに来たのかも知れないですね。
2人が一緒に旅立てたのは、良かったのかもしれないです。
☆HAL☆
女性/46歳/栃木県/介護士
2020-07-23 17:53