忘れられないサービス
お疲れ様です。
私が高校の時連れが卒業少し前に、単車の中免を取得して単車も買いました。
嬉しそうにしてたので、みんなで走りに行こうって事になり、寒空に単車4台で出かけました。
当時福岡に住んでいましたが、午後から雪が降ってきました。
みんな凍えながらも楽しく走っていましたが、辛抱たまらん様になって町外れのポツンとあったうどん屋に入りました。
とにかく暖をとりたい一心で中に入るなりダルマストーブの前に行きみんなで輪になってストーブにパワーを与えるかの如く全員が両手をかざしていました。
少し落ち着いた頃店の中にいい匂いがしてるじゃありませんか。
うどん食おや!と1人が言い出しました。
みんな単車の維持やら燃料代やら、しかも突然のツーリングだったのでスッテンテンでした。
全員の小銭を集めてうどん二杯分に少し足りない。
仕方なく「おやっさん、かけ一杯下さい。」
と私が恥ずかしそうに言うと、おやっさんはハイよ。
と作り始めました。
ストーブの周りから離れる事が出来ないまま喋っていたら、
お待ち!と言う方を見たらお盆に4杯のうどんが、
私ら以外お客は居ません。
みんながおやっさんに注目していると、
「金ないんか、そこに有るだけ貰おうか」
とおやっさん。
二杯分マイナス50円を出して、全員が満面の笑みで、ありがとうございます。
何故かこの時のありがとうございますは一糸乱れる事なくピタッ!と合ってました。
オマケにキツネまでのせてくれてました。
みんな涙こそ流しませんでしたが、うどんすする音に紛れて鼻をすする音も聞こえる勢いでした。
食べ終わってご馳走様でした。
と深々と頭を下げていたら、
ちょと待て!
と奥から古新聞を何束か持ってきました。
何?と思ったら、おやっさんがジャンバー脱げ!
と言って新聞を体に巻き始めました。
オッ!と思ってみんなが真似し始めました。
その上からジャンバーを着たらあったかいんだから。
おやっさんが、俺も昔新聞巻いて走ったからな。
気を付けて帰れよ!
と昔ヤンチャやってそうな無口なおやっさんがニコッとしてくれました。
かっこいいおやっさんでした。
それから卒業まで、ツーリングがてらしょっちゅう食べに行きました。
2年前に帰省した時に行ってみたら更地になっていました。
CO2玉
男性/58歳/三重県/自営・自由業
2020-08-04 18:15