生を想う(1)
この夏、我が家のベランダを、唯一無二の最期の場所に選んでくれたのは、あなたが3代目です。
ナニユエ、ここなのでしょう?
スッキリした場所だったからでしょうか?
それは…
昨年ウッカリ再就職してしまい、日々時間がありません。ホコリとゴミは見て見ぬ振りがモットーの生活の中、好きじゃないお掃除を簡単に済ませたくて強いココロで自分を律しベランダには何も置いてないのです。
そこが、風通しがいいからでしょうか?
そりゃあ、繁華街から外れた丘の上で、通勤にはバスも使っています。何かを選び取る場合は何かを犠牲にするんです。オイラは通勤の便よりも部屋にいて心地よい風を浴びることを選びました。人生に『濡れ手で粟』はありません。
アナタに最後の場所としての環境を提供するためではないんです。
ひょっとして、オイラの人の良さに惚れ込んで、最期はこの人に見送られたい♡と望んでのことでしょうか?
ごめんなさい。
オイラには、別れましたが惚れた男がいて、彼が心安らかに残りの人生を過ごしてくれるように静かに祈っています。瀕死のアナタを見てもココロは動きません。オイラのことは諦めてください。
オイラは、牧師さんでも僧侶様でもありません。
もちろん、残念ですがアナタとの血縁もありません。
さらには、町田市の条例にだって、アナタの最後を見とる義務は記載されておりません。
アナタを自分ちのベランダで風葬にするほど、オイラは自然と一体化し時間に身を委ねる優雅な暮らしをしておりません。
くみ
女性/65歳/東京都/黄色くみ広報室長
2020-08-30 12:23