名人芸
相変わらず、お休みは配信の映画ばかり見ています。
最近は自分が幼い頃にうろ覚えで見た大作映画を観たりしています。
特に転覆した豪華客船からの脱出を描いた「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年)はかなり面白かったです。
その中に、ゲジゲジ眉毛で鬼瓦みたいな顔をしたアーネスト・ボーグナインという名脇役のおじさんがいて、主人公を何かと手助けする刑事、という役で良い味を出していました。
ボーグナインといえば、自分が子供の頃は、ベテラン声優の【富田耕生さん】という方が吹替えを演じられていて、いわゆる「決まり役」だったんですが、このポセイドンアドベンチャーも富田さん。
若い頃に流行った【超音速攻撃ヘリ エアーウルフ】(1984年)という極秘のヘリ部隊が毎回 事件を解決するという海外ドラマがあって、イケメンの主人公をサポートするベテランの副操縦士をボーグナインが演じていて、やはり吹替えは富田さんでした。
そして、この前、海外ドラマの『ER ~緊急救命室』(2009年)をみていたら、すっかりおじいさんになったボーグナインがゲストで出ていてビックリしたのですが、やっぱり富田さんが演じていました。
当たり前だけど。
素晴らしく画と声が馴染んだ自然な演技。
ボーグナイン93歳、富田さん 75歳(当時)
さぞや現場の若手声優の皆さんは盛り上がったでしょうね。ボーグナインを吹替える富田さんなんて、生ける伝説そのものでしょうから。
4年くらい前か。エアーウルフのブルーレイBOXが発売される時に、20分ほどの未公開部分を、80歳の富田さんがピッタリと声をあてて周囲を驚かせたそうです。インタビューでボーグナインについて聞かれると「もう、彼の芝居はすべて盗んでいるからね。彼がのけぞる時は自然とのけぞってる。役が身体に入ってる。それがプロでしょう」と、答えたとか。
こういう名人芸がそこかしこに息づいている。それが日本の声優さんの文化なんだと思います。
コーギモモ
男性/58歳/神奈川県/飲食業
2020-09-22 01:10

