恋花案件
あれは中学2年生だったころの事。
当時、小学4年生から好きだった女の子にラブレターで気持ちを伝えました。
友達に頼んで教室の戸のところで待っててもらい、戸を開けた瞬間「これ、読んでください」と言って手渡しました。
そこからまずは友だちからということでその子との文通が始まりました。間に親友だった女友達に入ってもらい、互いの手紙を届けてもらっていました。新しい手紙が届くたびにドキドキしたものです。レタリングで何度も彼女の名前を書きました。年賀状も必死でイラストを描き、元旦未明に彼女の家のポストに直接届けました。好きな音楽に彼女のイメージを重ねたり、ノースリーブという言葉も、彼女の手紙で覚えました。
中3の進路相談の時も、なんとなく彼女と同じ高校を選び無事二人とも合格。偶然にも同じクラスになり、新生活は最高のスタートでした。進学してからは大好きだったバスケを辞め、その子にカッコいいところを見せたくて経験もないのにいきなり硬式野球部に入り、1年間必死で甲子園を目指して野球に打ち込みました(結果、練習のし過ぎで体を壊しベンチにも入れず途中退部しましたが)。
高校1年の3学期。最後は、僕の子供っぽさにおそらく向こうが引いたのだと思います。終わりにしよう、とフラれました。
それからもその子のことは忘れられず、お互い地元で暮らしていることもあって町で偶然見かけたことも何度かありました。そのせいか、四半世紀以上経った今でも夢に出てくることがあります。その時はもう、切なくてたまらなくなるのですが。
別件ですが…。
数年前、その子の結婚して変わった姓を、僕に高2のバレンタインにチョコをくれた同級生がラインでそっと教えてくれました。その子は、手紙にあったイニシャルや彼女の他にいないなどの状況から僕が勝手にチョコをくれたのは彼女だと決めつけているだけなので、表向きは相手不明のまま今日に至っています(なのでお返しはしていません)。
恋は時々実りはするものの、いつでも一方通行ですね…。
銀ペイ工房
男性/54歳/鳥取県/会社員
2021-02-04 17:04