鴻の休日、そのひとコマ
京浜東北線に乗っていた。
車輌の端っこのドア近くに立っていた。
私の左前はいわゆる優先席。三人のお年寄りが座っていた。そのお年寄りたちの前、つまり私の左隣に可憐なる女性がひとり、スマホの画面に忙しなく指を滑らせていた。
ある駅に着いたらお年寄りのひとりが降りていった。
何か、気配を感じた私は可憐なる女性に眼をやったのだ。
彼女はしばし私の顔を見て、そして発したひとこと。
「どうぞ」
ん?
待て待て、待てよ。
まだ62歳だぁよ。
そりゃまあ、頭髪の半分は白いけれど、目尻には細かい皺が刻まれているけれど。
「どうぞ」って、いや待ってくれよ〜
初めてそんなん言われた……
傷ついた気分とかは違うけれど、なんか、ちとショック。
お〜♪
鴻の親父(おおとりのおやじ)
男性/66歳/埼玉県/居酒屋やってます
2021-03-07 22:40