案件
あの日。私は小学校にいました。
ボランティアの引き継ぎのため
PTA室で作業をしていました。
パイプ椅子は雪崩のように崩れ
急須やお茶碗が戸棚から飛び出して割れ
パパさんソフトの賞状が壁から落ち
パソコンが床に転がるのをヤバい!と抑えた頃。
校内放送で校長先生の声が聞こえてきました。
「地震です、机の下に潜りなさい。
机の足をしっかり持って頭を守りなさい。」
はっきり、力強く、落ち着いた声です。
何度も繰り返します。
先生も揺れて足元がおぼつかないはずなのに
切れ目なく、慌てることなく、ずっと
声をかけ続けてくださっていました。
その声が聞こえるだけで不思議と
恐怖感が減っていくのがわかりました。
こうもおっしゃっていました。
「先生は君たちを必ず守ります。
安心して落ち着いて行動しましょう。」
もちろん私の子どもも教室にいるのですが
この放送を聴いているのなら
心配ないと感じました。
その後は避難訓練どおりに校庭へ出て
保護者が児童を引き取り、帰宅しました。
今でもあの声ははっきり覚えています。
校長先生、ありがとうございました。
べにあずま
女性/57歳/東京都/パート
2021-03-09 16:07