思い出の先生
中学生のとき、ソネ先生という先生がいらっしゃいました。
ソネ先生は、自転車通勤で、ママチャリにもかかわらず、当時からしっかりヘルメットをつけるような正しい人でした。
真っ直ぐで、それゆえに指導が厳しく、僕なんかは、掃除が雑だとか、机に下敷きを敷かずにカッターを使ったとかで、長時間残されてお説教されたことがありました。
ちょっと風変わりで、真っ直ぐなので、いっぽうで、からかわれたり、嫌われたりしているのも知っていましたが、僕は好きな先生でした。
あるとき、ソネ先生が通勤で使っている自転車(ママチャリ)を、不良のみんなに破壊されたことがありました。
翌日の朝会で、ソネ先生がみんなの前で、
「私の大切なソネマシーンが破壊されてしまいました。
私の重要な移動手段ですので、とても困っています。
人の物を壊してはいけません。」
とだけ話しました。
ソネマシーンの部分はあまりウケませんでしたが…
怒ることもなく、淡々と語る先生の声は、みんなに響いたのか、ザワザワしていた体育館がシーンと静まりかえったのを覚えています。
人の声が中学生に届く瞬間だったのかなと思います。
デキ杉
男性/51歳/埼玉県/公務員
2021-05-04 18:48