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ノンフィクション作家:梯久美子の連載コラム『この父ありて』を毎週楽しみにしています。戦前・戦後を生きた”娘”とその父の関係を語った小品です。

一人目は、渡辺和子。
カトリックの修道女として生涯を終えた方ですが、父親は2・26事件で殺害された陸軍軍人:渡辺錠太郎(わたなべ・じょうたろう)です。錠太郎は幼い和子の目の前で、銃弾を浴び絶命しました。

二人目は歌人:齋藤史(さいとう・ふみ)。
父:齋藤瀏(さいとう・りゅう)は陸軍軍人。瀏と錠太郎は旭川の師団で軍務を伴にし個人的な親交もありましたが、瀏は2・26事件の叛乱青年将校を支援したとして事件後入獄しています。処刑された青年将校の中には、史の幼馴染みもいました。

和子と史に面識はありませんでしたが、各々の立場で2・26について語られています。

3人目は島尾ミホ。
作家:島尾敏雄の妻です。敏雄の不貞が発覚してから精神を病んでいく姿を『死の棘』と言う小説の中で語られている女性です。幼い時に母と死別したミホを養女に迎えた養父:大平文一郎との関係が書かれています。梯久美子は著書『狂う人』で島尾ミホの伝記を上梓済みなので、コラムはそのさわりに過ぎないですが興味深く読みました。と言うより… しまった、この回は読み飛ばせば良かった、と悔やんでいます。『狂う人』を出版後直ぐに購入したのですが、やはり本家の『死の棘』を読み終えてから手をつけようと思っているので未読の状態なんです。『死の棘』をなかなか読み進められなくて(敏雄の文章は、ねちっこい)他の本に浮気をしているうちに、今回のコラムでネタバレされてしまいました。『狂う人』は単行本で630ページ余りのボリュームなのでネタバレされても読み応えは十分なはずだ、と自分を慰めています。

四人目は石垣りん。遅咲きの中卒詩人として有名です。関東大震災で最初の妻(りんの実母)を亡くしてのち、死別離別を含め計3人の妻を娶った実父との関係が只今連載中の内容です。

映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』を観た反動で、りんの詩集4冊を含めた6冊の詩集を一気に購入しました。私の傍らには石垣りんと山之口貘(やまのぐち・ばく)と尹東柱(ユン・トンジュ)がいます。
嗚呼、また『死の棘』が遠くなっていくよ…

豆乃花

女性/55歳/東京都/自営・自由業
2021-06-13 18:05

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