錯覚の話
「どんなお酒が好きなの?」
「いつもどのお酒飲んでるの?」
居酒屋なんて仕事していると時々お客さんとの会話の中で受ける質問にこんなのがあります。
正直、それほどお酒に強い訳ではないんですが、それでも好きなお酒というのはあったりします。
そこはね、趣向品ですから、お酒は。
どんなシチュエーションでも飲みたいと思えるお酒もあれば、どんな時でもあえて飲みたいとは思わないお酒もあるわけです。
ある時、お客さんがビール中瓶を二本飲まれたんです。その間、私はウヰスキーをロックで二杯飲んだんです。
時間にしておよそ30分ほど。
で、お客さんが言ったんです。
「そんな強い酒飲んで、お前、身体壊すぞ」
錯覚って日常に実は其処彼処に転がっているものですね。
ビールはアルコール度数が低い“弱い酒”だから身体(この場合は肝臓のこと?)に対する負担が小さい。
ウヰスキーはアルコール度数が高いから……
本当にそうでしょうか?
30分という時間で“ビールの中瓶を二本”と“ウヰスキーのロックを二杯”。
如何ですか?
ビール中瓶二本なら1,000mlですね。アルコール度数が5.5%のビールなので摂取したアルコールは55mlということになります。
ウヰスキーロックを作る時、私の場合は概ね50〜60ml使います。二杯で多くても120mlです。アルコール度数は40%なので摂取したアルコールは48mlです。
強い酒は身体にキツい。
そりゃそうでしょう、ガブ飲みすればね。
お酒を嗜むって、色々な楽しみ方のカタチがあるのだろうとは思っています。
でも基本はひとつではないかな、とも思っています。
自分の飲めるペースと分量を自覚して、時には穏やかな気持ちで、時には和やかな雰囲気に浸りながら、愉しむことです。
そのためには、どのお酒がどの程度のアルコール度数なのか、それを知っておくのも大事なのかなって。上手なお酒の飲み方にもつながることではないかなって。
ビールだから大丈夫、なのではなくて。
ジンとかウォッカ、ウヰスキーはほとんどの銘柄が40%、カンパリは25%です。
甲類焼酎も乙類焼酎も25%のものが多いです。
日本酒やワインはほとんどの銘柄が15%です。
アルコール度数の低いお酒は大丈夫……
これは、錯覚です。
鴻の親父(おおとりのおやじ)
男性/66歳/埼玉県/居酒屋やってます
2021-08-12 22:20