運び運ばれ案件~お届け物語~
本部長、秘書お疲れ様です。
私には忘れられない集配ドライバーさんがいます。
当時私が従事していたのはとある公共のお仕事でした。
膨大な量の紙に囲まれ、高速プリンターを何台も駆使し、それを操る人間も交代をしながら昼も夜もなく印刷をした上で配送業者の方に引き渡します。
スケジュールがタイトな上に不具合が発生すれば引き渡しがギリギリになることも少なくありません。
搬出口で泣きつき時間を引き伸ばしている間に滑り込みで発送準備が完了することも何度もありました。
ドライバーさんの中にいかりや長介に似た厳しめの方がいました。我々の準備の遅さに毎回お叱りの言葉が口をついて出る方です。
その日のドライバーも長さんでした。集荷の時間を何度も変更して、遂にはその日の最終ギリギリの時間に来てもらうことにしたのですが、それでも準備は間に合わず。しかし私達もその日に発送できなければ事故扱いになってしまうので必死です。
でも「地方へのトラックがもう出ちゃうからダメだよ」そう言い残して帰っていく長さんの後ろ姿にこちらも謝るしかありませんでした。
程なくして印刷チームから準備ができたと連絡がありましたが、私の頭の中は事故になってしまったという絶望感でいっぱいでした。
しかし奇跡は起きました。
準備が整ったのとほぼ同時に長さんが戻って来たのです!長さんは一言「集荷できるか?」と尋ねてきました。「ハ、ハイ!」
荷物を積み込みながら聞いてみると、同じような準備の遅いお客さんの集荷の帰りにもう一度寄ってみたとのこと。
ドライバーさんの神対応に猛烈感謝の思い出です。
後日談で長さんから「あの日地方に向かうトラック達にこっぴどく怒られたんだぞ」と聞き、またまた平謝りをしましたが、それ以降も何度も助けてもらいました。
あのときの長さんに似たドライバーさん、本当にありがとうございました。
まんきち
男性/53歳/埼玉県/会社員
2022-03-23 15:55