モモが珍しく料理の話をする
昔、NHKの情報番組で「ペペロンチーノは乳化が大事」という知識を披露していました。
ニンニクオイルと茹でたパスタと合わせる時、茹で湯を加えながら、ドレッシングのように乳化させるとパスタと良く絡むんだ、との説。
これは料理人の間でも賛否が分かれるところですが、自分は「 乳化は必要ない 」という主義で今まで仕事してきました。
パスタは茹で上がった瞬間がシコシコで一番美味しい。
だから、茹であげから一口目までの時間を出来るだけ短くしたい。フライパンをシャクる回数も少ないほど良いというポリシーです。
世にある乳化してる調味料の代表がマヨネーズだとして、一方で分離している和風ドレッシングのようなものもありますが、マヨネーズってコクがあって重たい調味料じゃないですか。
同じように、いかにも「頑張って乳化させました」っていうペペロンチーノも、もっさり重たい。
シャクりすぎてパスタの表面が傷付いて食感が悪くなってることも ままあり、その削れた小麦粉が水分と合わさって、アンカケのようになることを乳化と勘違いしている人もいます。
重たくて食えたもんじゃありません。
それにパスタって、温かいうちは、どんどん水分を吸うものですから、出来上った時に乳化していても、時間の経過とともに、油だけがギトギトと分離してしまいます。食べ終わったら皿に油だけが大量に残っていた、なんてことも良くある光景。
味見した時にベストな状態でも意味はありません。お客さんに最後まで美味しく食べ切ってもらうことが一番大事。
蕎麦やラーメンを食べる時って、箸で適量をつまんで、汁の中で上下させながら、丁度いいバランスの時にススるじゃないですか。
イタリア人がパスタを食べる時も同じ。常にフォークでパスタとソースを混ぜながら食べます。だいたい、一番最初にパスタが運ばれて来た時に、一度、全部かき混ぜてから食べる人が多いんです。
実は日本人も、それに近いことを自然とやっています。日本人は麺類を食べるの上手なんです。
だから「乳化は必要ない」という結論。
来週は「 ペペロンチーノ vs ソーメンチャンプルー対決 」らしいので、そんなような乳化の話がOAされたら嫌だなぁ、と思いながら、ちむどんどんするー(・∀・)
コーギモモ
男性/58歳/神奈川県/飲食業
2022-05-22 00:24