フィリピンパブ
本部長、秘書、スタッフ、リスナー各位
お疲れ様です。
本日はかさんだ残業を解消するためフレックスで早上がりしました!
さて今日の案件、メロいおじいさんがいらっしゃいましたのでご連絡します。
先程、帰宅するため会社最寄りの駅に着いた際に
コンビニの前であるおじいさんに声をかけられました、おじいさんは被っていた帽子を丁寧に取り胸の前で両手で持ちながら話しかけてきました、声が小さくこちらはイヤホンを外して聞き取れるように体制を整えます、おじいさんは言います、この辺りにフィリピンパブは無かったですか?念の為、聞き返しました、フィリピンパブですか?
うなずくおじいさん。
心当たりがあったので駅前のビルを指差します。
あそこですか?
利用したことは無かったですが、フィリピンの国旗が掲げられていた事とエキゾチックな顔立ちの女性がドアのまえに立っていたこと見たことがあったのです。
指差したほうを振り返るおじいさん。おずおずと歩き出しビルの前に立ちます。
私も後をついていきます。
二人が見たものは…
ガランとした室内が透けて見えるガラスのドアでした、どうやら閉店してしまっているようでした。
無くなってしまったみたいですねぇ、と私がいうとおじいさんはどこか移転したのでしょうか?とやはり蚊の鳴くような声で言います。
それは判りません…と言うと、やはり帽子を丁寧に胸の前で両手に持ちながらどうもありがとうと言うのです。
私はそんなおじいさんがメロく思えて仕方ありませんでした。夕日にはまだ早い鋭い日差しの中を出掛けてきたおじいさんの気持ちを考えるといたたまれない気持ちになりました。
癒やしと涼しさを与えてくれる新たなフィリピンパブとの出会いを願ってやみません。
私は駅に向かって歩き始めましたがおじいさんは道端の縁石に座り込んでしまいました、まさか熱中症にならないだろうなと思いましたがあまり考えてもしかたないと思い、もう見るのはやめました。この6月、おじいさんが梅雨明け以外に翻弄される事がこれ以上ありませんように
草加パラシュート部隊
男性/42歳/東京都/会社員
2022-06-30 18:16