修行案件
私は大学で文学部英米文学専攻に通っていたのですが、修行と呼べる過酷な学科でした。
まず、教科書はすべて英語で、教授は日本語で授業するものの黒板には何も書かず、ひたすら喋っているだけなので、瞬時に内容を理解してノートに取らなければなりません。
イギリスとアメリカの文学の歴史が記された広辞苑5冊分くらいの教科書を持ち歩くのはまさに修行で、大胆な友達はページを破いて分けて持ち歩いていました。
そして日々の授業の出席は取られず、試験一発勝負で成績が決定します。
卒業論文は英語で書く必要があり、最後にその論文に関する質疑応答面談を教授たちと行ってから、卒業が認められます。
何十年も研究し続けている有名な教授10名ほどの前で、2年ほどしか研究していない論文を発表するのはめちゃくちゃ緊張しますし、教授たちはとてもオーラのある方々ばかりなので、『ハリーポッター』のホグワーツの教授たちに囲まれて魔法のテストをされているハリーのような気分でした。
卒業した時は、同級生たちと、ホグワーツのテストに受かったんだから社会でも生きていける!と言っていました。
夏生まれの雪だるま
女性/34歳/東京都/自営・自由業
2022-10-19 14:39