案件

本日の案件はモテ案件ですかぁ
私みたいなオッサン、老害にモテる要素はありませんからね、難しいです
強いて言えば年を重ねたゆえの皺ですかね
7年前に交通事故で当てられて瀕死の重傷を負った時に運び込まれた大学病院のEICUやICUでお世話になった看護師の若い女の子たち
彼女たちが口々に言うのです「〜さん、若いから回復は早いですよ」初めはお世辞だと思っていました
でも「若いと言うけどさ、オレもうすぐ50だよ　そんなオッサン捕まえて若いは言い過ぎでしょ」と言うと「周りをよ〜く見てください　あなたより年齢が下の人が何人います？」驚きましたねぇ　確かにこの場では私は若かったのです
そんなことで彼女たちも時間がある時には私のベッドに来てケラケラ笑っていました
癒されたなぁ、あの時が一番のモテ期だった
そんな時ギクっとするような事を彼女たちは言うのです「笑顔はとっても素敵なんだけど、皺が.....」盛り上がっている時に突然「皺」
「え？あ、はぁ、ごめんなさい」あんまり調子乗るなよ！と釘を刺されているのかと思っていました
ある日、彼女たちの内の1人が遊びに来た時に同じように盛り上がっていたらやはり突然「皺〜！」と言います
「ひ〜、ごめんなさい」と静かにすると「〜さん、なぜ私たちがそれを言うか分かります？」「いえ全く、強いて言えば静かにしろと言いたいんでしょ？」
「違います、私たちには無いものを持っているんですよ」
「この皺が？」
「そう、笑うと出来るその皺、私とってもカワイイと思ってるんです　他の子達も同じ気持ちだと思いますよ」と何とも嬉しいお言葉
天使とはこんなところにたくさんいたのですね
「嫌味な患者さんはたくさんいます　そんな人たちの皺なんて何も気になりません　年齢故の皺くらいにしか思いません　でもね〜さんの笑い皺は私たちをとっても楽しませてくれるんです　ウチの父にもそんなものは無いなぁ　とっても魅力的ですよ」
私もEICUやICUで患者も医療者も緊張している中、少しでもその場を和ませようと冗談を言ったり、患者にコテンパンに言われている看護師さんや助手さんに助け船出したり、後輩にキツく言わなくちゃならない立場の教育係の看護師さんを擁護したり、それなりに気を使って来たつもりだったのですが、見ている人は見ていたんですね
皺と気配りはモテるみたい！

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