聞いてよ!私の恋バナ!
やしろ本部長、浜崎秘書、こんばんはー
30年ほど前、20代前半で異性の友人を亡くした経験があります。彼女は4年付き合った元カノでした。
ずっと連絡を取っていなかった彼女から電話があり「入院したからお見舞いに来てくれないか」と言われました。当時、私は都内の大学に通っており、彼女の入院している病院は地元の東北の病院でした。
調べてみると彼女の病気はかなり深刻なものでした。
お見舞いに行くと、彼女はわりと明るく、他愛もない話をしました。私が帰ろうとすると彼女は「また、会いに来てほしい」と言いました。
一瞬躊躇した私に彼女は「手紙でもいい」と言いました。それから何度かお見舞いに行き、手紙も何通も書きました。
数ヶ月経った頃、彼女から電話があり「どうしてもお見舞いに来てほしい」と言われました。お見舞いに行くと、彼女は大分体調が悪そうでした。話をするのも苦しそうでしたが、彼女は昔付き合っていた頃の思い出話をし、私へのダメ出しをしました。「あなたはやさしい、みんなにね。でもね、それじゃダメなの。女の娘は特別扱いして欲しいものなの」。そして最後に「私のこと、忘れないで」と言い、それから1週間ほどして他界しました。
彼女の最後の言葉は、私をずっと縛り付けました。折に触れて彼女を思い出し「彼女の死」を悲しみました。彼女が亡くなったことを忘れちゃいけない、ずっとそう思ってきました。
ですが去年、ちょっとしたことがきっかけで、自分の勘違い、そして彼女の真意に気づきました。彼女は「自分の死」を忘れないで欲しかったわけではなく「自分が生きていたこと」を忘れて欲しくなかったんだと。
最後のお見舞いの時、結果的に私への「ダメ出し」になりましたが、彼女は「私との楽しい思い出」を記憶に残したかったんだと思います。30年経ってやっとそのことに気がつきました。
当時、私が彼女をどう思っていたかもう覚えていません。好きだったのか、同情だったのか、でも私にとって彼女は「特別な娘」でした。
やっと悲しみから解放され、彼女との思い出を楽しいものに変えられた、そんな気がします。
ボルボロス
男性/54歳/埼玉県/会社員
2023-02-14 16:50