名物先生
私の学校には「しおじい」と呼ばれている先生がいます。
動物や植物に詳しく、温厚な性格もあってみんなから慕われていました。
お昼休みに散歩をするのが日課だったのですが、いろんな小話を聞きたい先生や学生がぞろぞろついていき、
ブレーメンの音楽隊か、はたまたハーメルンの笛吹き男のような光景でした。
私も何度もついていって、たくさんの花の名前、鳥の鳴き声、植物の使い方を教えてもらいました。
そんなしおじいは、突然還らぬ人になりました。
本当は大病をわずらっていたそうなのですが、そんな素振りも見せず、元気なところしか見ていなかった私達にはショックがおおきかったです。
しばらくしおじいの研究室の扉には、学生からの手紙や作品がたくさん貼られていて、前を通るたびに、またふらっと「散歩行こうか〜」と扉が開くんじゃないかと期待していました。
しおじいは天国でも、たくさんの人を連れて散歩してるんじゃないかなあと思います。
ねむたいきのこ
女性/31歳/東京都/会社員
2023-03-02 16:05