徒然に、徒然に……(その三)
十日ほど前のことかな。
とある個人経営の飲食店がやむなく廃業を決めた、とこの掲示板で読んだ。
夫婦二人で守ってきた、そんな店だったようだ。
やめたくてやめる訳ではない。何か事情あってのこと。
いや、私は行ったことのない店のことなのだけれど。
もちろん、店主のことだって何も知らない。
ただ、「11年やってきた店を閉めることにした」と書かれていたその文面には、無念さが滲んでいた。
面白おかしければ良い、儲かれば良い、と適当にやっていた訳ではなく、極めて真面目に「美味いものを出そう、喜んでもらおう」と取り組んでいたのだろうことは想像に難くない。
色々と考えてしまう。
知り合いが廃業した訳ではないのに、言ってみれば赤の他人のことなのに。
何なのか、この寂寥感は……?
ちょっとした企業のチェーン店が閉まりました、というなら「あ、そう」で済むことなのに。
個人で店やることはなかなか面白いものである。
思った通りに、自由にできるし。やりたくないことはやらなきゃ良いだけだし。
ところが面白いだけじゃなくってね。
面白さと同居しているのが切なさだったり、辛さだったり、そんなこともある。
そんなことあれこれを全部呑み込んできた、笑いもしたし泣きもした、そんな11年だったんだろうな……
我が身のことも考えてしまう。
何でこの店やってんだろ……
この世に無くっても誰も困らないのに、何で今日もやってんだろ……
柄にもなく凹んでる。
鴻の親父(おおとりのおやじ)
男性/66歳/埼玉県/居酒屋やってます
2023-03-18 22:54