一芝居
もう20年以上前の話です。
あるスーパーで、
お菓子の新商品を紹介する売り子さんが来ており、そのお菓子のキャラクターのビニール風船を飾っているコーナーが。
近くには小学校低学年くらいの女の子が2人ウロウロしてるのが目に入りました。
私は隣の列に行きスナック菓子を選んでいたのですが
お母さん連れてきてくれないとダメなの!買わないとあげられないんだよ、と売り子さんの声が聞こえてきました。
気がつくとその売り場の方に足が向き、
探したんだよ!こんなところにいたの?と2人に声をかけ。
あーすみません。
あれ?このお菓子新しいんですか?と、矢継ぎ早に質問。
売り子さんから一通りの説明を聞きました。
途中、貼ってあるポスターで、
二つ購入でオモチャをプレゼントと書いてあるのを見逃さず。
コレって四つ買ったらふたつもらえるんですよね!
選べるんですか?と聞き、数種類のお菓子の中から四つをカゴに。
売り子のおばちゃんから2人が選んだものを受け取ると、
ありがとうございます〜という声に背を向け、
見知らぬその子たちに目で合図して、サッサとその場を後にしました。
当時私は20代前半。
結婚もしておらず子供もいませんでした。
でも、元々老け顔で、高校生の時から街を歩くと
奥さん、お母さん!とお店の人に声をかけられるような
肝っ玉母ちゃんの風貌だったので
私ならいける!と咄嗟に思ったんでしょうね。
無事小学生2人の母を演じきりました。
そのお菓子はアレルギーなども心配なのでその子達には渡せず。
次の日に職場に持って行き職場の人とみんなで食べました。
空気を入れて膨らませるビニールのおもちゃに、太いゴムが付いているヨーヨーに大喜びしてくれた小学生ふたり。
その後会うことはなかったけど、そのキャラクターを見るとたまに思い出す出来事でした。
あぷりこっとん
女性/48歳/東京都/休職中
2023-04-24 15:45