ゾゾゾ
あれは確か25年前ぐらいのこと。
深夜まで装飾の作り込みをしていて、材料が足りなくなって高速道路を走って取りにいきました。
すぐ折り返してきたのですが、あまりにも疲れて車を端のスペースに寄せて少し眠りました。
物音に気づくと、助手席側のドアを開ける人影!
ドアをロックしていなかったことに気づき、慌ててドアをロックしようとしましたが間に合わず、ドアを開けて人が乗ってきました。
チラッと見れば、黄色いワンピースを着て、唇に紅を引いた
お婆さん?のような感じで、
「築地に行ってください!」と言われました。
タクシーじゃないんだけどと、思いましたが怖くてちゃんと顔を確かめることが出来ませんでした。
何度もお願いされるので、
「築地まではいけないが広尾なら」と応じるしかありませんでした。
高速を降りて駅に着くと、手をぎゅっと握られました。
尖った感触が手のひらに刺さりました。
それは、千円札でした。
ドアを開けて、駅の階段を降りていく姿を見て、ちゃんと足があることが分かりましたが、ゾゾゾ〜
でした。
オレンジの泪地蔵2
男性/59歳/東京都/自営・自由業
2023-08-08 18:13