ラジオ案件で思い出したことひとつ
1980年代の後半、日本の景気が右肩上がりで巷にはウハウハ顔の若造が跋扈していた頃。
私もそんな若造のうちのひとりだったのだが。
仕事の移動ではガンガンとタクシーを使った。
昼間も夜も。
昼間は得意先訪問とか。
夜はその得意先との飲み会とか。
会社からは「経費増やせ」とまで言われていたこともあった。
そんな頃のこと。
夜に都内でタクシーに乗ると運転手さんはだいたいラジオを流してくれていた。
運転手さんが聴いていた番組はかなり高い確率でプロ野球中継。もちろん、ジャイアンツ戦。
好き嫌いもあるのだろうけれど、運転手さんと当たり障りのない会話をするにはもってこいの番組だった。
大阪に出張で出かけて、夜タクシーに乗ると、やっぱり野球中継。
こっちはタイガース戦。
これも地域色ってやつですかね。
時々、大阪のタクシーでもジャイアンツ戦を流している運転手さんがいた。
「運転手さん、阪神ファンじゃないんで?」
と尋ねると、鼻でフンと笑って
「大阪だって巨人ファン多いんやで」
地域色が一瞬塗り変わった。
先入観に囚われたら判断間違うという、ちょっと大袈裟なことも覚えさせられた、そんな話である。
鴻の親父(おおとりのおやじ)
男性/66歳/埼玉県/居酒屋やってます
2023-11-28 21:30