やっちまった案件
高校生の頃、全国大会の強豪校に所属していました。当時、高校生でもケータイを持っているのが当たり前の時代でしたが、うちの部活は規則でケータイ所持禁止。そして男女交際も禁止でした。
しかし私は一歳下のエース・青山くんのことが好きになってしまいました。規則で付き合うことはできないとわかってたけれど、熱い思いを隠しきれなくなってしまい、ある夏の部活帰り、「用事がある」と周りに嘘をつき、彼の家の最寄り駅まで着いていき、駅のホームで告白しました。すると、まさかの「僕も好きです」との返事。ここから私達の禁断の恋が始まりました。
喜んだのもつかの間、部活は一年中休みなし、親や周りにも隠し通さなくてはいけない、ケータイもない、デートも電話もできない状況が私にとってはとても寂しくて不満ばかりが募っていきました。
耐えられなくなった私は、告白したときと同じように彼の最寄り駅まで行って、お別れを伝えようと決意。そして一緒に電車を降りると、青山くんが「最近、駅前にカフェが出来たみたいでさ。先輩と行こうと思って、調べたんだ。今から行かない?」と、今までに一度もなかったプチデートのお誘い。
私はあまりにも嬉しすぎてどう喜んでよいかわからず「えー!そうなの?!でも、こんな田舎な駅にカフェなんかあるの〜?ダサいやつ?」と照れ隠しで小馬鹿にした反応をしてしまいました。
「そんなことないっすよ〜!」って笑い飛ばしてくれると思って、青山くんの顔を見ると真っ直ぐ前を見てとっても悲しそうな顔をしていました。そして「ダサくねーよ。喜ぶと思ったのに」とボソリ。
あぁ〜〜やってしまった!バカ!私のバカ!なんで素直に「嬉しい!私のためにありがとね」って言えなかったんだ!と、激しく後悔しました。
その後案の定青山くんとはお別れしましたが、未だにあの悲しそうな横顔は忘れられない、やっちまった出来事です。
やきまんじゅう
女性/35歳/埼玉県/公務員
2024-01-11 16:33