ヤギえんぴつ大放出案件
本部長、秘書、リスナー社員の皆さまお疲れ様です。
私のネガティブな恋の思い出、それはついこの前、日曜日のことでした。
その夜は雨が降っていました。
そしてその日傘を持たずに出て行った恋人からは「駅まで迎えに来て」とのメッセージ。
それに対して僕は、「嫌だな」「面倒くさいな」と反射的に感じていました。しぶしぶ彼女を迎えに行くまでの道のりも半ば怒りにすら似た気持ちが芽生え、彼女に会う直前まで「どうして傘持っていかなかったの?」とか、「天気予報見なよ」とか、そんな言葉が喉元まで出かけていました。
そんなことを知らない彼女は、改札を出てくるなり「ありがとう」でも「ごめんね」でもなく「雨の日の傘の中って人の声が一番きれいに聞こえるんだよ」と恥ずかしそうにつぶやくのです。その瞬間、そうだ僕はそんな彼女が大好きだったんだと思い直し、同時にすごく複雑な気持ちになりました。
雨の中とはいえ、歩いて数分の駅まで彼女を迎えに行くくらい、なんてことないことのはずなのに、なんて器の小さい人間なんだと自分を責めました。帰り道、一つ傘の下、楽しそうに話す彼女に向ける顔がありませんでした。
彼女にネガティブな言葉をぶつけずに済んだのは不幸中の幸いですが、この先も雨が降れば、彼女の言葉よりもそんなことを思ってしまった自分の罪悪感を思い出すんだろうなと、少し暗い気持ちになりました。
ラジオを聴かない彼女に、ここで謝らせてください。ごめんね。
不思議は不思議なままで不思議
男性/27歳/東京都/会社員
2024-04-23 21:14