本日の案件
本部長、秘書、皆様お疲れ様です。
私の初海外は30年ほど前のスリランカでした。
観光ではなく仕事。
その内容はインド洋で獲れたマグロを空輸し日本の市場に優先的に卸すための現地調査でした。
当時のスリランカは『タミルの虎』と呼ばれる少数民族タミル族の解放独立を掲げる反政府武装勢力が至る所で爆弾テロを起こしていて都市部に入ると数キロ毎に検問があり大きなライフル銃を肩から下げた兵隊が立っていて一台一台車を止めてはパスポートのチェック、車に爆弾が仕掛けられていないか爆弾探査機のような機械を車の下に突っ込んで調べていました。
平和に慣れていた我々日本人には、かなりのカルチャーショックでした。
仕事の方はというと…当時、スリランカ最大の港コロンボの魚市場(日本でいえば築地市場)に調査に行ったところ、なんと鮮魚の冷凍保管に必要なマイナス40℃以下に冷やすことが出来る冷凍庫はおろか、普通の冷蔵庫すらまともにない状態…
集められた魚は種類に関係なく木箱に無造作に入れられて並べられているだけ…
市場全体が生臭く、とても日本人の衛生管理に対応出来るものではありませんでした…
現地のスタッフに話を聞くと、スリランカ人は生で魚は食べない、少々古くなってもカレーに入れて煮込むので問題ないという答え…
これも食文化の違いに驚くのと同時に日本人の食に対するこだわりや繊細さを強く感じた出来事でした。
それから数年後、地中海を漁場としたマグロの空輸事業が大手商社を中心にビジネスモデル化されたニュースを聞いた際、スリランカがもう少し平和で、もう少し食文化にこだわりと気配りがあれば、今頃スリランカから築地にマグロが飛んで来ていたのにな…と残念に思ってしまいます。
今では世界中の人が寿司の美味しさを知り、生で食べる魚の美味しさを知ってしまいました。
30年前、一緒に現地視察をした仲間の一人は、現在クロアチアでマグロの捕り方、加工の仕方などをクロアチアの人々に教えています。
坂本龍三
男性/59歳/神奈川県/会社役員
2024-06-13 14:37